海外赴任が決まると、住居探しや引っ越し、ビザ、携帯電話、銀行など、出国までに準備しなければならないことが一気に増えます。
その中で意外と後回しになりやすいのが、海外でのインターネット環境です。
「インターネットなら海外でも普通に使えるのでは?」
と思うかもしれません。
もちろん、Googleや一般的なWebサイトを見るだけなら、海外でも特に困らないことがほとんどです。
ところが実際に海外で生活を始めてみると、日本にいたときには普通に利用できていたWebサイトやオンラインサービスが使えなくなったり、日本国外からアクセスしていることで表示内容が変わったりすることがあります。
私自身もシンガポール駐在を経験し、この問題に直面しました。
この記事では、これから海外赴任する方に向けて、VPNは本当に必要なのか、どんな場合に役立つのか、そして出国前に準備しておいた方がよい理由について、実際の海外駐在経験をもとに解説します。
そもそも海外赴任にVPNは必要?
結論から言えば、海外赴任する人全員にVPNが必須というわけではありません。
海外で日本のWebサイトやオンラインサービスをほとんど利用しないのであれば、VPNがなくても困らない人もいるでしょう。
一方で、
- 海外から日本のWebサイトやオンラインサービスを利用したい
- 日本国内向けのサービスを利用する機会が多い
- 日本のIPアドレスが必要になることがある
- ホテルや空港などのWi-Fiを利用する機会が多い
- 海外でもできるだけ日本にいたときと近いネット環境を作りたい
という人なら、VPNを準備しておくメリットがあります。
特に海外赴任は旅行とは違い、数か月から数年にわたって海外で生活することになります。
「必要になったら考えればいい」と思っていても、海外に移ってから日本側の環境を準備しようとすると、思った以上に面倒なことがあります。
海外に行くと日本のサイトが使えなくなることがある
日本で生活していると、自分が「日本からインターネットに接続している」ということを意識する機会はあまりありません。
しかし海外へ移動すると、現地のインターネット回線を利用することになります。
例えばシンガポールの自宅回線を使えば、通常はシンガポールのIPアドレスになります。
アメリカのホテルから接続すればアメリカ、タイの携帯電話回線ならタイというように、利用している回線によって接続元として認識される国が変わります。
Webサイトやオンラインサービスの中には、このIPアドレスなどを利用して接続元の国や地域を判定しているものがあります。
そのため日本国内では普通に利用できていたサービスでも、海外へ行くと利用できなかったり、追加の確認が必要になったりすることがあります。
VPNを使うとどうなる?
VPNを利用すると、自分のパソコンやスマートフォンからVPNサーバーを経由してインターネットへ接続できます。
例えば海外から日本国内に設置されているVPNサーバーへ接続すると、
海外のパソコン・スマートフォン
↓
日本国内のVPNサーバー
↓
日本のWebサイト・オンラインサービス
という通信経路になります。
接続先のWebサイトから見えるIPアドレスは、基本的に日本のVPNサーバー側のものになります。
そのため、海外にいながら日本のIPアドレスを利用したい場合にVPNが使われます。
IPアドレスや仕組みについては、別記事「海外から日本のIPアドレスを利用する方法」で詳しく解説しています。
私がVPNを必要としたのはシンガポール駐在中でした
useusdVPNを始めたきっかけも、私自身の海外駐在経験でした。
2013年、私は家族とともにシンガポールで生活していました。
海外生活が始まってしばらくして、家族から日本のサービスを海外から利用できないという話が出てきました。
海外赴任は、仕事をしている本人だけでなく、一緒に海外へ移る家族にとっても生活環境が大きく変わります。
言葉も違えば、テレビも違います。日常生活そのものが日本とはかなり変わります。
そんな環境の中で、少しでも日本にいたときと近い生活環境を作れないかと考えたのがVPNを使い始めたきっかけでした。
当初はいくつかのVPNサービスを試しました。
ところが、最初は問題なくても次第に不安定になったり、接続できなくなったりすることがあり、かえって家族のストレスになることもありました。
幸い私はネットワーク関係の知識があったため、最終的には日本側に自分でVPNサーバーを構築して利用するようになりました。
これが後のuseusdVPNにつながっています。
ですから、私にとってVPNは「海外旅行で使う便利なツール」というよりも、海外生活を少しでも快適にするための生活インフラの一つという感覚に近いです。
海外赴任でVPNが役立つ場面
では、実際の海外生活ではどんな場面でVPNが役立つのでしょうか。
日本国内向けのWebサービスを利用したい
海外から日本のWebサイトへアクセスすると、海外からの接続であることを理由に利用を制限される場合があります。
このような場合、日本国内のVPNサーバーを経由して日本のIPアドレスを利用することで、アクセスできるようになるケースがあります。
ただし、日本のIPアドレスを利用すれば、すべてのサービスが必ず利用できるというわけではありません。
サービス側がVPNを判定していたり、アカウントの登録地域や端末の位置情報などを利用していたりする場合もあります。
日本の動画やコンテンツを利用したい
海外生活を始めてから「日本のコンテンツをもっと見たい」と思う人も多いと思います。
特に家族帯同で赴任する場合、本人よりも家族の方が日本のテレビやコンテンツを必要とすることもあります。
私の場合もそうでした。
ただし、動画配信サービスなどにはそれぞれ利用地域や利用条件があります。
VPNを使えば必ず利用できると考えるのではなく、各サービスの利用規約や現在の提供条件を確認し、自分の環境で利用できるかを確認することが重要です。
海外のWi-Fiを利用する
海外赴任では自宅のインターネットだけでなく、ホテル、空港、カフェ、コワーキングスペースなどのWi-Fiを利用する機会もあります。
VPNでは端末とVPNサーバーの間の通信を暗号化するため、このようなネットワークを利用するときの通信保護にも利用できます。
ただしVPNを使えばあらゆるセキュリティリスクがなくなるわけではありません。
OSやブラウザを最新に保つ、不審なサイトを利用しない、多要素認証を設定するなど、基本的なセキュリティ対策と組み合わせることが重要です。
VPNは海外へ行ってから契約してもいい?
もちろん、海外赴任後にVPNを契約することもできます。
ただ、これから海外赴任するのであれば、私は出国前に一度試しておくことをおすすめします。
理由は単純で、海外へ行ってから、
「VPNにつながらない」
「設定方法が分からない」
「使いたかった端末で使えない」
となるより、日本にいる間に設定しておいた方が余裕を持って確認できるからです。
パソコンだけでなく、
- iPhone
- Android
- タブレット
- 家族の端末
- 必要に応じてVPN対応ルーター
など、海外で実際に使う機器を確認しておくと安心です。
特に家族で赴任する場合は、本人のパソコンだけ設定して終わりにせず、家族が普段利用する端末についても確認しておくとよいでしょう。
海外赴任前だからこそ自宅VPNという選択肢もある
もう一つ、ネットワークに詳しい方なら、日本の自宅などにVPNサーバーを用意する方法もあります。
海外から日本の自宅へVPN接続し、自宅のインターネット回線を経由してインターネットへアクセスする方法です。
自分で管理できるのがメリットですが、
- VPNサーバーまたは対応ルーターの準備
- 日本側のインターネット回線
- ネットワーク設定
- セキュリティ管理
- 機器が停止した場合の対応
などが必要です。
特に注意したいのが、海外赴任中に日本側の機器でトラブルが発生した場合です。
再起動するだけで直るような問題でも、日本に誰もいなければ対応できないことがあります。
自宅VPNを利用するのであれば、こうした点も出国前に考えておく必要があります。
海外赴任用VPNを選ぶときに確認したいポイント
VPNサービスは数多くありますが、海外赴任で日本への接続を目的にするのであれば、料金だけで選ばない方がよいと思います。
特に確認したいのは、
- 日本国内にVPNサーバーがあるか
- 自分が赴任する国から利用できるか
- 利用したい端末に対応しているか
- 通信速度は実用的か
- 接続が安定しているか
- トラブル時にサポートを受けられるか
- 無料体験や返金制度など、事前に確認できる仕組みがあるか
といった点です。
海外から日本まで通信する以上、物理的な距離もあります。
そのため「最速」と書かれているサービスでも、自分が住む国、自宅の回線、時間帯などによって実際の速度は変わります。
口コミだけで決めるより、自分が実際に生活する環境で試せるサービスを選ぶことが重要だと思います。
VPNが必要ない人もいる
ここまでVPNについて説明してきましたが、VPNを契約する必要がない人もいます。
例えば、
海外では現地のサービスしか利用しない、日本国内向けWebサービスをほとんど使わない、日本のIPアドレスを必要とする場面がないという人なら、VPNを契約しても利用する機会は少ないでしょう。
「海外赴任するならVPNは絶対必要」と考える必要はありません。
重要なのは、
海外で自分や家族がどのようにインターネットを使うのか
を出国前に考えておくことです。
その結果、日本のインターネット環境が必要なのであれば、VPNを準備しておく価値があります。
useusdVPNは海外生活の経験から生まれました
useusdVPNは、もともとVPNサービスを事業として作ろうとして始めたものではありません。
シンガポール駐在中、自分の家族が海外生活で困っていたことを解決するために作ったVPN環境が出発点です。
その後、「同じことで困っている海外在住の日本人がいるのではないか」と考え、2018年からサービスとして提供するようになりました。
現在も、海外在住の日本人が日本のインターネット環境を利用することを主な用途として、日本国内にVPNサーバーを用意しています。
ただし、特定のWebサイトや動画サービスなどの利用を保証するものではありません。
国、インターネット回線、端末、利用するサービスなどによって結果が異なる可能性があるためです。
そのため、useusdVPNでは14日間の無料期間を設けています。
海外赴任後に実際の環境から接続して、自分が必要としている用途で利用できるか確認してから継続することができます。
海外赴任とVPNについてのまとめ
海外赴任をするからといって、全員がVPNを契約する必要があるわけではありません。
一方で、海外生活でも日本のWebサイトやオンラインサービスを利用したい、日本のIPアドレスが必要になる、家族が日本のコンテンツを利用したいといった場合には、VPNを準備しておくと便利です。
私自身、シンガポール駐在を経験するまで、「海外に行くと日本のインターネット環境がこんなに変わる」ということをそれほど意識していませんでした。
実際に生活してみて初めて分かる不便があります。
これから海外赴任するのであれば、出国前に一度、
「海外で自分と家族は何のWebサービスを使うのか」
を確認してみてください。
その中に日本国内向けのサービスが多く含まれているのであれば、VPNも海外赴任準備の一つとして検討しておくとよいでしょう。
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